まとめ
フィジカルトレーナーの立場から疲労に向き合った本。
もちろんアスリートだけでなく一般の社会人に向けた本であり、専門用語などは極力省かれており内容も難しくないため理解しやすいです。疲労というと身体的な問題化と思いますが、実は神経的なところでの疲労も大きな要因を占めていることが分かりやすく説明されており、腑に落ちます。
具体的なトレーニング方法や食事方法も書かれており、この一冊で一般的な内容が抑えられるので、仕事や子育て、家事など日々の生活で疲れが溜まっている、最近疲れが取れないと感じる人にまず初めに手に取ってみてほしい1冊。
筆者
中野ジェームズ修一 さん
フィジカルトレーナー。
青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。日本では少ないフィジカルだけでなくメンタルも指導できるトレーナー。
構成
序章は疲れのメカニズム、第1~3章は疲れの予防、第4章からは回復について書かれています。
序章 そもそもなぜ、疲れるのか
第1章 自律神経を整えて疲れない体を手にする
第2章 疲れない体をつくるトレーニング
第3章 疲れない食べ方
第4章 疲労を回復させる眠り方
第5章 疲れた筋肉をゆるめて超回復
第6章 体の痛み・コリをリセットする
第7章 心の疲れを取り除く
初版:2021年3月
ポイント紹介
疲労の原因
(1)体力低下と体重増
(2)睡眠パターンの乱れ
体内には疲労因子FFと疲労回復因子FRというものがあり、これらのバランスを取ることが大事。日中の活動量を増やして睡眠を整えることがこのFFとFRのバランスを整え疲れを取ることに繋がるようです。
(3)座っている時間が長い
日本は世界で最も座っている時間が長い国の一つと言われています。これがミルキングアクション不足を招き、疲労の回復が遅れてしまいます。
※ミルキングアクション:ふくらはぎなど下半身の筋肉の動きにより、末梢に溜まっている血液(静脈血)とリンパ液を心臓へ循環させる作用のこと
自律神経
自律神経とは、呼吸、体温維持、血液循環、消化吸収、血圧調整といった生きるために最低限必要な機能を担っており、当然寝ている間もオンのままです。そのため自律神経には疲労が溜まりやすく、自律神経の中枢と言われる脳の視床下部の疲労を抑えることが、疲労回復のカギを握っています。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つの系統からなります。多くのケースでは交感神経がアクセル役、副交感神経がブレーキ役となります。
交感神経が優位になる状況が多く副交感神経が優位になる状況が少なくなりバランスが崩れると、疲労を招きます。
自律神経を整えるための「自律訓練法」が紹介されています。
これは、手足の重さ、温かさ、心臓の拍動、呼吸のリズムに意識を向けながら、副交感神経を優位にして自律神経のバランスを整えるセルフ・コンディショニング術のことです。
本書の中には具体的なやり方がわかりやすく書かれているので、気になる方は見てみてください。
疲れない体づくりには、疲れるトレーニングが必須
中枢性の疲労・・・疲れたからもうトレーニングを中止しなさい、という危険信号を脳が発すること
末梢性の疲労・・・筋肉の疲労。体内のpHが賛成となって起きる
この2つの疲労に負けない体を作るために、疲れるくらいのトレーニングが欠かせません。
ポイントは、低負荷×高回数で行うレイヤートレーニング。逆に高負荷×低回数だと中枢性の疲労、抹消性の疲労が起こる前にトレーニングが終了してしまうことが多い、とのこと。
その他
食事は、過食も少食も疲労の元。特にたんぱく質が減ると、筋肉のたんぱく質もアミノ酸に分解されて筋肉が減少してしまいます。結果、疲れやすい体になってしまいます。
オススメは、鳥の胸肉。イミダペプチドという物質が含まれており、これが体内の活性酸素を無力化するようです。低脂肪高たんぱくなのもgood!
睡眠は、平日と休日で生活リズムを変えない。これは社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)を防ぎ、月曜日から憂鬱な気分になる通称「ブルーマンデー」の防止に繋がります。
あとはパワーナップ。最近流行りの言葉なので説明不要かと思いますが、昼休みに短く昼寝を挟むことで疲れが取れ、PMの作業効率が上がると科学的にも証明されているようです
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