(書評)知識を操る超読書術

まとめ

集中力や勉強術や睡眠など、精神的というか脳科学というかそっち系の分野が専門の筆者が書いた本はどれも読みやすく理解しやすく書かれており、この本も例外に漏れません。文章自体は話口調で平易な文章で書かれいて専門用語も説明がついていて誰しも理解できます。

「知識を操る」という難しそうなタイトルで書かれていますが、

読書初心者に対しては、全部読まなくても読みたいところまで読めばいいんだ、とか、読書に慣れてない人も読書してみようかな?という読書に対して前向きにさせてくれるいわば読書の入門書のような本です。

読書中級者を目指すサブボスのような人に対しては、ただ読むだけでなく理解を深めアウトプットの質を上げる方法論を提示してくれています。

このように、ちょっとでも読書に興味のあるすべての人が今よりもっと読書を好きになる読書テクニックの詰まった1冊。

筆者

DaiGo さん

言わずと知れたメンタリスト。スタンスをはっきり取りすぎて賛否あることも。

心理学や脳科学に精通しており、著書も多数。

構成

第1章で、あまり読書が得意でなかったり読書をしない人にありがちな、読書に対する誤解についての話をします。

そのあと、読書術として3つのフェーズ(読む準備、読み方、読んだ後のアウトプット)に分けてそれぞれ第2~4章で解説してくれます。

構成がはっきりしていて読みやすいのと、3つの〇〇、という書き方で頭に残るように配慮してくれています。

第1章 読書にまつわる3つのフェイク

第2章 読書の質を高める3つの準備

第3章 理解力と記憶力を高める5つの読み方

第4章 知識を自在に操る3つのアウトプット

初版:2019年11月

ポイント紹介

速読の嘘

誰もが憧れる「速読」。サブボスも憧れて練習したことがあります。心の中で音読しないのは当たり前、目を上から下まで動かさずに斜めに動かすとか、間接視野で漢字の部分の位置を薄っすら把握して漢字の部分を目で追うようにする、など。

なんとそういった速読のノウハウは効果が無い、と本書は主張しています。

2016年のカリフォルニア大学の研究では、以下2つの結論が導かれています。

・読むスピードを上げると内容の理解度が下がる

・読書のスピードと時間を決める要素の中で、目の動きや周辺視野が占めるのは10%以下しかない

なんと・・・たしかに速読を見様見真似でやったときは確かに理解が薄かった気がしましたが、それはただの練習不足だったと思ってました。そういう研究結果がやっぱりあるんですね。

じゃあどうすれば本は早く読めるの?と思って読み進めると、先ほどのカリフォルニア大学の研究では、「ひたすら読むことにより、文章を処理する能力が高まる=読む速度が上がる」という結論が出たと書いてあります。

う~ん、途方もない、と思ったあなたへ、そこで筆者が解決策を提案してくれます。

それは、「スキミング(拾い読み)」 です。

方法:「読み飛ばす部分」と「熟読する部分」を見極め「熟読する部分」だけを読む

第2章の準備の話にも繋がりますが、読む前に自分が「この本から何を得たいか」を明確にしてから読むことで、自分が大事に読まないといけない部分と、軽ーく読み流していい所がはっきりします。むしろ大事にする部分は目に飛び込んできます(カラーバス効果)。

スキミングとは、その大事に読むべきところをちゃんと読んで、読み飛ばすところは読み飛ばしましょう、言い換えると、自分がその本から得たい情報以外は読み飛ばす、という技術です。速く読むというよりも、読むところを減らすイメージですね。

理解力と記憶力を高める読み方

5つの読み方が提案されています。5つの共通点は「本の単なる読者にならない」ことです。自分から本に、そしてそれを書いた筆者に自ら仕掛けていく姿勢が理解力を高める、と主張されています。

5つの読み方のうち、実践しやすい2つを紹介します。

・予測読み

読む前に内容を予測しよう。予測と結果を比較したとき、意外性があるとより記憶されます

・「要するに」読み

章ごとに、「要するに〇〇ということが書いてある」と自分の言葉に要約する。ここに感情や感想を加えると、記憶に残るし自分ごととして捉えて実践しやすくなります

アウトプット

アウトプット、人への説明のコツが書かれています。サブボスが気になったのは、

「教えるつもりで読む」だけで記憶への定着率が28%上がるというワシントン大学の実験結果です。

これは本当にその通りだと実感しますし、こうしてブログに書いているのもアウトプット前提で読書することで自分の理解力を高めることに繋がっているんだとわかり嬉しいです。

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