まとめ
初めにいうと、自分もこれを読んだらドイツ人のように明日5時に帰れるようになる!という本ではありません。ドイツの働き方や文化の違いを勉強するための本です。
日本でも、働き方改革の名のもとに労働時間を短縮しようという動きが進められていますが、筆者は、ドイツでの就業経験をもとに日本の働き方改革の甘さを主張されています。
なぜドイツでは残業が少ないのか?ドイツの法律や仕事へのスタンス、会社との付き合い方など文化そのものを日本と比較しながら説明されており、非常にわかりやすく理解できます。
ドイツと日本の違い、日本がなぜドイツと比べて残業が多いのか、自分の会社に当てはめることで色々考えさせられる一冊。
筆者
熊谷徹 さん
元NHK記者
その後、フリージャーナリストとしてミュンヘン在住。
構成
序章 日本の働き方は改革できるのか?
第1章 なぜドイツは残業無しでも経済大国なのか?
第2章 国による厳しい監視が必要
第3章 残業よりも早い帰宅を評価する
第4章 ドイツの仕事は個人でなく会社につく
第5章 過剰なサービスを減らして時短を実現
第6章 日本でも働き方の意識改革が必要だ
と、なっています。それぞれの章でドイツ人がなぜ残業少ないのか?をデータとともに書かれています。どの章から読んでも内容を理解できると思います。
初版:2017年10月15日
ポイント紹介
本書を手に取る多くの人が知りたいのは、「ドイツ人はなんで5時(つまり定時)に仕事が終わって帰宅できるんだろう?」だと思います。
ドイツ人と日本人の仕事の進め方などについて細かくは記載されてるわけではなく(職種業種によっても違うからそもそも比較できない)、文化的側面についての記載がメインです。以下サブボスが特に参考にたポイントを紹介します。
法的規制が厳しい
これは日本も昔より厳しくなっていると思いますが、ドイツの方が規制が厳しい、というかルールをしっかり守る感じでしょうか。以下、本書の書かれた2017年10月時点です
「労働時間が1日10時間まで」
「6か月平均は1日8時間以下」
「最高1万5,000ユーロの罰金。しかも管理者(上司)個人のポケットマネー」
日本は残業時間で管理してるのに対し、ドイツは労働時間で規制されてるようです。6か月平均で1日8時間以下、は日本だとなかなか実現するの難しそうですね。
違反時の罰金が管理者のポケットマネーというのもなかなか想像つかない世界です。
効率を重視し無駄を嫌うメンタリティー
「個人主義が強く、友人、家族、恋人と過ごすプライベートの時間をとても重視する傾向にある」
ということみたいです。日本にもそういう人ももちろんいますけど、残業が当たり前みたいな風潮があって平日はなかなかプライベートの時間を取れない、という人も多いのではないでしょうか?
余暇(長期)を得ることに社会的合意がある
「仕事は個人でなく会社につく」
「休暇が他の人と被らないようにあらかじめ周囲と合意を取る」
どっちも当たり前な気がしますが、本書を読んでて、ドイツと日本ではレベルが違うと受け取りました。
仕事は個人でなく会社につくと言っても、実際のところ日本では結局その人がいないと状況分からないとか、状況分かっても進められないということが多々あると思います。だから有給休暇も取りづらいし、周りが取らないから自分も取らないの負の連鎖かと思います。
休暇が他の人と被らないようにする、と言っても日本で行われるのはせいぜい2~3日の休みの話で、ドイツのように2~3週間各自で休みを取るなんてなかなか難しいですよね。そもそも日本人はお盆とか年末年始で一斉に休む会社がまだまだ多いと思います。それが悪いというわけではないですが、一斉にみんなで休む時しかみんな休まないから、自分だけの有給休暇を取るのに抵抗感がでる、取りにくいという感じでしょうか。(もちろん当てはまらない職場も多いと思いますが・・・)
自分がいなくても回る仕事のやり方、有給休暇を個別に取る文化ができてもっと休暇を取りやすい雰囲気になればいいですね。
労働契約書がある
「社員の業務内容、義務、権利、禁止事項、給与、所定労働時間、残業時間の取り扱い、有給休暇日数などが細かく明記してある契約書」
を、ドイツでは従業員と会社側で取り交わすようです。
日本ではこういうのあるんですかね・・・サブボスは自分のこういう契約書があるのかないのかもわかりませんが、少なくとも業務内容について明記されているものはないと思います。
本書曰く、ドイツでは労働契約書に書いてないことを上司に依頼されると「それは私の仕事ではありません」と言って断るらしいです。
例としては、社長に書類のコピーを依頼されても断れるらしいです・・・いやいやコピーくらいやれよ!と思う反面、日本ではそういう普段の業務外のことが積み重って仕事が増える、という人も多いのではないでしょうか。
日本の方が業務内容が家族的で曖昧でフレキシブルで融通が利いて協力しあう関係な一方で、なあなあで甘えあって仕事を増やしあう、といった感じで、ドイツの方が契約社会って感じですね。
一長一短あると思いますが、終身雇用が崩れて転職が当たり前になってきた(これから更になってくる)日本でも、もう少しシビアな契約関係に近づくのかもしれません。
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